パーソナルデータの利活用について①

パーソナルデータの利活用について①

平素より菱電商事をご愛顧いただきありがとうございます。菱電商事新事業推進室で、エンジニアをさせて頂いております竹内と申します。

今回は、セキュリティ技術の紹介として、パーソナルデータの利活用について、3回に分けてご紹介したいと思います。

1-1 パーソナルデータとMyData

  私達が生きる現代社会ではさまざまな状況で自分が何者であるかを特定し証明する必要があります。身近な証明の手段としては、運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなどがありますが、それらは個人を特定する記号のようなものであり、私たち自身の全貌を表わすものではありません。むしろ日々の生活の中で行う移動や飲食、運動、購買などの活動や、他者との会話、趣味・嗜好などの多様な情報が各個人の全体像を形成していると考えられます。
    
 総務省が平成29年度に発行した情報通信白書では、データを4種に分類しています。個人のデータが政府や企業のデータと並ぶ重要なデータとして位置づけられているのがわかります。

    
個人情報とパーソナルデータの定義は以下の通りです。
個人情報
   → 個人情報保護法第二条で定義される、生存する個人に関する情報
パーソナルデータ
   → 個人情報に加え、個人を特定しないものも含む、特定の個人に関する広範囲の情報

    
…わかり易く言うと、
 個人情報は、生きている個人を特定する情報。これに対し、パーソナルデータは、個人情報に限らない、特定の個人に関するさまざまな情報です。このパーソナルデータを現実の世界で活かす方法について考えてみます。

1-2 MyDataとは

 東京大学大学院情報理工学系研究科の橋田浩一教授は「MyData」について以下のように述べています。

  • MyDataとは「本人主導のパーソナルデータ活用」であり、その重要性は次の点にある。
  • ・パーソナルデータを利用するには、法律による定めのない限り、データ主体本人の同意が必要である
  • ・多様なサービスにおいてパーソナルデータの共有・活用を中央で集中管理することは不可能であり、エッジでの管理運用が必須である
  • ・サービスの価値とはサービス受容者にとっての価値であり、データ主体本人のニーズに従ってパーソナルデータを活用することで価値が最大化する

    
橋田教授はまた、AIにMyDataが必須であることも指摘しています。

  • ・AIが各個人に合った良質のサービスを提供するためには、当該個人に関するリッチなデータが簡単に使える必要がある
  • ・多数の個人のデータを分析するためにも、本人の同意に基づいてリッチデータが簡単に収集できる必要がある

   
近い将来、自分自身のニーズに適したAIサービスを受ける条件が「自分自身でパーソナルデータを管理・運用すること」となるのは必然かもしれません。

1-3 グローバル化とデータポータビリティ

欧州連合(EU)はデータに関する人権を保護するルールを大幅に見直し、それを2018年5月に施行しました。これが一般データ保護規則(GDPR)です。これに応じて世界各地で同様の法整備が進められていますが、その背景にはICTの急速な進化とグローバル化があります。

米国のGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)や中国のBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)はグローバル化の象徴と言えるでしょう。
これらのプラットフォーマがパーソナルデータの寡占により莫大な利益を得ています。こうしたパーソナルデータの一極集中に待ったをかけるきっかけとなるのが欧州一般データ保護規則「GDPR」ですが、その根底にあるのは「パーソナルデータは、本来は個人のものであり、個人は自らのパーソナルデータのコントロール権を有するべきである(→基本的人権としての自己情報コントロール権)」という考え方です。
そして個人がパーソナルデータを管理・活用できるためには「データポータビリティ」が必要となります。

   
データポータビリティとは、個人のデータはその人自身のものという考えに基づき、企業などがサービスを通じて収集・蓄積した個人に関するデータを本人の意思で自由に他のサービスに移転できるということですが、これは1-2で紹介した「MyData」の実現に必須ですね。

1-4 データポータビリティを取り巻く環境

一般データ保護規則「GDPR」を施行したEUは、その後、次々に個人情報保護の動きを強化しています。また、自由競争を重んじるアメリカ合衆国や、全体主義国家である中国も、それぞれの事情に応じて個人データに関する法整備を進めています。
今回はこれらの代表的な3つの地域と日本の動向を簡単に整理します。

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