case 事例インタビュー
株式会社レンタルのニッケン様

summary

金属対応タグSilverlineシリーズの導入事例
建機レンタル業でのRFIDの活用

建設機械や工具のレンタル事業を展開する株式会社レンタルのニッケン様では、従来のQRコード管理に加えてRFIDを併用することで、資産管理の仕組みを進化させました。

金属製品が多く、従来はRFIDの導入が難しいとされてきた現場においても、金属対応タグ「Silverlineシリーズ」の採用により安定した読み取り精度を実現。現場環境に左右されない、堅牢かつ効率的な管理体制の構築に取り組んでいます。

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INTERVIEWEE

株式会社レンタルのニッケン

株式会社レンタルのニッケン様

土木・建築・産業関連機械を中心に、約4,700種類・約120万点の商品をレンタル提供。さらに、自社商品の開発・製造・販売も手がけ、全国約250の営業拠点を通じて多様なニーズにお応えしています。

過酷な環境下での運用

現場の声が浮き彫りにした課題

レンタルのニッケン様が扱う建設機械や工具は、工事現場という過酷な環境で使用されます。同社では約10年前から資産管理に従来のQRコードを導入していましたが、現場での使用により様々な問題が発生していました。

汚れにより読み取りが困難になったQRコード

建機に特有の油汚れによりQRコードが読めなくなったり、薬品で拭き取るとインクが消えてしまう問題が頻発していました。また、屋外使用による日焼けや、激しい使用による擦れや剥がれなどの物理的な損傷も日常的に発生していました。

保護シールを貼る対策も試みましたが、結局剥がれてしまい、定期的な張り替えが必要で根本的な解決には至りませんでした。

在庫調査においても、QRコードでの運用には膨大な手間がかかっていました。一点ずつQRコードをカメラで読み取るには膨大な時間を要し、小柄なスタッフは重いものや高い場所にある製品の扱いに苦労することも。
日没後の暗い場所や雨天など悪天候下では、カメラでのQRコード読み取りが困難になり、作業時間が限られる場合も多くありました。また、大量の在庫を抱える中での調査は、ときに「宝探し」のような状況になることもありました。こうした現場の声を受けて、同社では抜本的な解決策としてRFID導入の検討を始めました。

現場に向き合う選定プロセス

過酷な環境にも耐える確かな品質

同社の担当者によると、RFIDの導入検討は実は10年ほど前から行われていました。当初の検討段階では、導入コストや性能が見合わず、QRコードを採用するに至ったという経緯がありました。しかし、QRコードの課題を解決するにはRFID技術が最適との判断に至り、技術の成熟と価格の適正化を受けて、ついに導入を決定しました。
建設機械レンタル業でのRFID導入には、二つの大きな技術的課題がありました。

QRコードとRFIDタグを併用した在庫管理

過酷な現場環境での耐久性

従来のQRコードでは、油汚れや薬品の拭き取り、日焼け、擦れや剥がれなどにより印字が劣化し、過酷な環境下での安定運用が困難でした。特に屋外や粉塵の多い現場では、防水・防塵性能の不足や粘着力の低下が深刻で、定期的な張り替えが必要になるなど、運用コストと作業負荷が大きな課題。こうした背景を踏まえ、レンタルのニッケン様では、RFIDタグの選定にあたり、耐水性・防塵性・耐久性を重視して選定しました。

Silverlineシリーズは高品質な粘着剤と丈夫な基材、IP68の防水・防塵性能により、過酷な現場環境でも高い信頼性を誇るRFIDタグです。導入にあたっては、複数のタグを実地検証し、貼り付け位置や読み取り精度などの細かな調整を重ねて、最適な運用を実現しました。

QRコードとRFIDタグを併用した在庫管理

金属製品が多い環境での読み取り精度

建設機械のような金属製品が多い環境では、金属表面が電波を反射・吸収するため、通常のRFIDタグでは読み取り精度が大幅に低下する問題があります。この特性により、金属製品を多く扱う同社の倉庫では、期待通りにRFIDタグを検出できない可能性があり、在庫調査の効率性や精度に大きな影響を与える懸念がありました。

今回採用されたSilverlineシリーズは、RFIDの世界的リーディングカンパニーであるZebra Technologies社とBeontag社が共同開発した金属対応タグ。他社製品と比較して品質のバラつきが少なく安定した読取性能を備えており、金属表面でも確実な通信を実現して、金属製品が多い現場での高い読み取り精度を実現しています。

ZEBRA  beontag

 

RFID技術の確かな信頼性

業務の質と効率を向上

「メーカーの案内では8~9割とされていた読み取り精度でしたが、実際に使ってみると、適切な環境下であれば、ほぼ10割近く読み取れています」と同社の担当者は語ります。

読み取り効率についても、「汚れや傷で読めなくなるQRコードよりも信頼できる」と現場からは高い評価を得ており、近づけるだけで読み取れることや、夜間や雨の中でも問題なく読み取れるなど、従来の課題が解決されました。

在庫調査において最も劇的な改善が見られました。約3~5メートルの距離感での読み取りが可能となり、鉄のカゴや商品棚の隙間から読み取れるため、商品を一つずつ取り出す手間がなくなり、棚卸の時間が大幅に削減されました。

アプリ連携による管理の最適化

連携しているRFIDアプリでは営業所が保有する在庫数が把握できるので、RFIDタグをつけていない販売品の在庫調査も楽になったという、副次的な効果も生まれました。トータルの意味で棚卸しという業務がすごく便利になり、システムも含めて包括的な業務改善を実現しています。

RFIDリーダーで在庫管理をするスタッフ

現場での利便性を追求した選定

また、今回採用したRFIDリーダーがポケットに入るほどの小型で軽量である点も大きな決め手となりました。従来のQRコードリーダーはポケットに入らないサイズで、広い敷地内を移動する際に荷物になったり、置き忘れて紛失したり、フォークリフトで踏んで破損させてしまうといった問題がありました。

今回の選定でポケットに入れられるサイズのRFIDリーダーを選んだことで、こうした事故の不安がなくなり作業性が大幅に改善されました。

DXで職場改善

従業員の負担軽減と働きやすさの向上

従来のQRコードでは、煩雑な在庫確認のなかでスタッフが棚一段分を読み落とすこともありましたが、RFIDリーダーの導入で数メートル先のRFIDタグも検出できるようになり、作業ミスの防止につながりました。

RFIDの活用は作業精度だけでなく、スタッフの身体的な負担軽減にも大きく寄与しています。在庫確認のために高いところから製品を取り出したり、重い製品を持ち上げたりする作業も減りました。なかでも高所での作業には、伸縮棒を使ってRFIDリーダーを近づけるといった工夫により、作業時間と身体的負担の両方を改善できるようになりました。

さまざまな長さのケーブル類

見分けがつきにくい製品での効果

RFIDの導入は、ホースやケーブル類の管理にも効果を発揮しました。似たような見た目で、長さや仕様が異なる製品が何種類もある中で、在庫調査の担当者がそれほど詳しくなくても正確に在庫調査できるようになったことが大きな進歩でした。熟練者でなくても機械で型番や数量が分かるため、取り違いのリスクが大幅に軽減されました。

FUTURE

RFIDが拓く建設現場の見える化

高品質な金属対応RFIDタグの登場により、これまで技術的制約から導入が困難とされていた建設機械レンタル業界でのRFID活用が実現しました。同社の事例は、過酷な現場環境での資産管理におけるRFID技術の可能性を示しています。

現在は、さらなる活用範囲の拡大を検討中です。将来的には、棚卸での在庫確認だけでなく、広い敷地内で目当ての製品がどこに保管されているかをリアルタイムで把握したり、レンタル中の機械が現在どこで使用されているかを追跡したりするなど、より高度な管理システムへの発展も視野に入れています。

また、RFIDはメーカーやレンタル会社の資産管理だけではなく、「施工業者や建築会社による現場での物品管理でも活用できるシステム」だと、同社担当者は期待を寄せています。

DXで管理負担を減らし、効率的で安全な労働環境を実現することは、労働人口が減少する日本の喫緊の課題。メーカーがRFIDを装着した製品を発売したり、レンタル会社がRFIDリーダーも併せて提供したりするなど、RFID技術が建設現場の煩雑な業務の改善に寄与することも期待されています。
RYODENは、現場のニーズに寄り添った技術提案を通じて、お客様と共にこの変革を推進し、誰もが働きやすい未来の実現に貢献してまいります。

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