アース環境サービス株式会社は、食品、医薬品、医療、容器、包材、物流、倉庫などをはじめとしたさまざまな業種業態において、異物混入や汚染を防ぎ、最適な衛生環境を維持・改善するためのサービス「総合環境衛生管理」を提供し、お客様の品質保証活動をサポートしています。
その中で、重要な役割を担うペストコントロール業務において、名古屋支店名古屋営業所・名古屋西営業所様はPescle(Rodents)とPescle Insectsを導入することで、リアルタイム監視による衛生管理の品質向上を実現しました。
本事例では、Pescle導入による従来手法との比較、具体的な導入効果、そして今後の展望についてご紹介します。
導入背景:月次調査からリアルタイム監視へ
従来のモニタリング手法は、月1回の定期調査による捕虫器の捕虫シート回収および計数・同定、そ族(ネズミ)の餌の喫食状況や粘着トラップの捕獲状況確認が中心でした。
この手法では、得られたデータからそ族の侵入や昆虫の発生タイミングを推測するしかなく、問題発生から対策までのタイムラグが課題となっていました。
また、問題の早期発見と対策、さらには予防対策をしたいというニーズに対しては、点検回数を増やして人海戦術で対応せざるを得ないこともありました。そ族や昆虫の発生サイクルを考慮すると、月1回の調査では足りない場合もあるためです。これには多大な時間と労力を費やす必要がありました。
これらの問題を解決すべく、早期調査・対策の実行、品質向上および省力化の観点からPescle(Rodents:ネズミ検知)とPescle Insects(飛翔虫監視)の導入に至りました。
1. Pescle(Rodents:ネズミ検知)
従来のそ族侵入調査は、殺そ剤や無毒餌の喫食状況(主に天井裏・建屋の外周)、粘着トラップ、あるいは目視による痕跡(ラットサイン)調査といった手法が主流でした。
そ族は警戒心が強く、トラップ類に容易に接近しないことから、動向把握から駆除まで数ヶ月を要するケースも少なくありません。
また、カメラを用いた映像調査についても、従来のトレイルカメラでは直接映像を確認しに行く必要があり、特に天井裏などのアクセス困難な場所では点検に多大な時間と労力を必要としていました。加えて、こういった天井裏などの調査は、トラップ類・カメラ設置いずれの場合も作業員にとって労働安全上のリスクを伴うものでした。
そ族の問題解決は品質保証の観点から後回しにできない必須課題です。従来手法が抱える欠点を解消しつつ、そ族の早期発見や対策の有効性を客観的に証明できるツールとして、Pescleは大変魅力的なものでした。
2. Pescle Insects(飛翔虫監視)
従来の飛翔虫調査は、月1回の調査時に捕虫器のシートを回収し自社の担当者や専門検査員が昆虫種の同定と捕虫数のカウント(計数同定)を行う、というものです。
どうしてもある程度のタイムラグが発生するうえ、昆虫の正確な発生タイミングの情報が得られないことから、原因調査に遅れが生じてしまう場合があることが課題のひとつでした。
食品工場や医薬品工場のような高い衛生管理レベルが求められる環境において、昆虫の発生源はすみやかに特定されなければなりません。初動の遅れは最適な防除対策の機会を逃すことにつながり、企業イメージの低下や経済的な損失にもつながりかねない異物混入発生のリスクを高めることになります。
問題の早期発見のため、定期点検以外でもお客様である品質保証担当者や製造責任者など、工場スタッフの方が頻繁に捕虫器をチェックするケースもありますが、これには多くの時間を割く必要があり、一定の負担を強いるものでした。このような課題への新たなアプローチとして、昆虫の捕獲状況を遠隔でリアルタイム監視できるツールであるPescle Insectsに魅力を感じました。
導入効果
1. Pescle(Rodents:ネズミ検知)
Pescleの導入により、そ族の侵入動向をリアルタイムで検知することができ、問題の迅速な把握と早期対策が可能となりました。
また、AIとセンサーカメラを融合した先端技術により調査の質を維持しつつ、労力の削減、調査スピードの向上による迅速な対策にもつながっています。
■侵入状況の明確な証明:客観的な証拠となる映像データが得られることで、対策の有効性をより明確に証明することができます。
■迅速なネズミ発見と早期対策:リアルタイム監視によりそ族の侵入を即座に検知することができます。これにより、従来数ヶ月かかっていたそ族の活動把握が迅速になり、早期対策が可能となりました。
■安全性の向上と労力削減:アクセス困難な場所でも安全かつ効率的に調査を実施できるようになり、作業員の負担軽減と安全確保にもつながっています。
2. Pescle Insects(飛翔虫監視)
Pescle Insectsでは飛翔虫の発生状況を映像でリアルタイムに把握できるようになり、そ族同様に迅速な対策が可能となりました。1時間ごとの自動撮影・カウントにより発生タイミングの特定が可能になり、お客様の業務負担の軽減にもつながります。
従来手法との併用で正確性と迅速性を両立し、食品安全とお客様からの信頼の向上につながっています。
■発生状況の正確な把握と迅速な対応: 1時間ごとの自動撮影により、撮影データから捕虫数とおおよその種類を把握することができます。現場異常の早期発見につながり、迅速な対策が可能となりました。
また、捕虫シートの映像と捕獲数、発生日時が履歴管理されているため、発生タイミングの特定が期待できます。より正確な原因分析に基づき、効果的な対策立案が可能となりました。
■従来手法との併用による迅速性と正確性の向上: 従来の目視調査やモニタリング調査と併用することで、それぞれの利点を活かしたより効果的な飛翔虫対策を実現しています。リアルタイム監視による迅速な対応と、従来手法による詳細で正確な分析を組み合わせることで、飛翔虫対策の精度と迅速性を両立できるようになりました。
■顧客業務負担の軽減: 毎日、あるいは頻繁に行っていた捕虫器チェックが不要になったことで、工場スタッフの方々の業務負担が大幅に軽減され、本来の業務に集中していただけるようになりました。
今後の展望:ペストコントロールのデジタル化推進
左から、㈱RYODEN 榎本、アース環境サービス㈱ チーフ 金子様、チーフ 田村様、チーフ 関様、㈱RYODEN 西川、前田
そ族や捕虫器の監視以外にも、ペストコントロール業務に積極的にIoT技術を活用することで、当社の品質保証支援サービス全体の更なる高度化を目指しています。
今後、当社の提供する「ESCOEVO」(衛生管理に関する情報を一元管理するシステム)とPescleの連携によるデータ共有・分析機能の強化など、さらなる発展を期待しています。
Pescleチームより
アース環境サービス名古屋支店様からは、Pescle(Rodents:ネズミ検知)の誤検知の低減、Pescle Insectsの捕虫サイズ判定機能の追加と防水機能の強化、そしてUIのユーザビリティ向上といった改善要望をいただきました。
Pescle開発チームは、これらのフィードバックを踏まえ、ハードウェア・ソフトウェア両面からの機能改善に取り組み、ペストコントロール業務の進化によるさらなる食品安全の実現に貢献してまいります。